このホームページを開設したことを親しい知人に報告したところ、「ついに!」という反応が笑顔と共に返ってきました。確かに、私が「シン・アカデミア」なる概念をしきりに口にするようなってから、もう数年が経ちます。私自身も、ようやく形にできたことを嬉しく思っています。

私は、ポスドク時代も含めて10年以上にわたって、お給料をいただきながら大学で研究をしてきました。とても充実した時間で、8年前には国立大学でテニュア職に就くこともでき、これは私の学生時代からの夢でもあったので、大変嬉しく思っていました。

一方で、アカデミックな研究を続けるならば、より自分にフィットした場所があるのでは、そしてそのような思いを他の研究者も共有しているのではないかという思いが強くなっていきました。そのような場所を、当時の私は「シン・アカデミア」と名付けました。(もちろん、あのアニメの影響です)

その考えを実行に移すために3年前に大学の職を辞し、それ以来、特定の組織には属さずに研究を続けてきました。

ですが、私の研究者としての居場所は学部4年生で研究を始めて以来、ずっと同じ場所にあったと考えています。それは、「アカデメイア」と呼ばれた、理想の学問の場です。それはまさに理想の概念として「イデア界」にだけ存在するものであり、現実の世界には存在できないものでしょう。それでも、私はイデアとしてのアカデミアを追い求めてしまうのです。

そのような探究者が、世界中にたくさんいることは間違いありません。イデアのアカデミアを追い求める研究者たちは、さまざまな組織の内外で、現実と対峙しながらも、イデアのアカデミアを追い求めています。私もその一人です。

皆がそれぞれ、イデアとしてのアカデミアすなわち真のアカデミアを自分なりの形で追求しています。それを何か特定のシステムや組織が現実のものとして実現し切ることは不可能です。しかし、真のアカデミアとは何かという問いに対して、それぞれの新しいアイデアを持ち寄り、議論し、実践していくことは可能です。それこそが、プラトンの対話篇でソクラテスが行っていた「Xのイデアとは何か?」の探求の方法だと思います。

もしかすると、その結果として、「現実世界のアカデミア」や研究機関に何らかの良い影響を与え、そこに関わる人々の生活や研究環境を少し改善することができるかもしれません。

概要に、私の考える「イデアのアカデミア」についての考えをまとめています。これは、必ずやソクラテスに論破される内容であることは疑いようもありません。現代のソクラテスたちに、真のアカデミアとは何かについて考えを聞かせていただけるととても嬉しいです。

アカデミアの理想についてのお考えは、いつでも プルリクエストまたはイシュー からお送りいただけます。不慣れな方は、お問い合わせからご連絡いただいても構いません。